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    • 2023.07.19 Wed 09:42

    河村彩先生翻訳の『ケアの哲学』(ボリス・グロイス著)が出版

    未来の人類研究センターでは「利他とケアと芸術」について研究を進めている河村彩先生の翻訳で、旧ソ連出身でアメリカ在住の美術批評家・メディア理論家・哲学者のボリス・グロイスによる『ケアの哲学』が、人文書院から出版されます。 

    「ケアの哲学」2,400円(税別)
    ボリス・グロイス著 河村彩訳
    20236月23日発売 人文書院

     http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b626139.html

    河村彩先生からのコメント
    ボリス・グロイス『ケアの哲学』を翻訳しました。物理的身体と、データの集合としての「象徴的身体」を備えた存在として人間の自己をとらえ、国家が人間の健康を統制する生政治としてのケアに抵抗するセルフケアの可能性を考える本です。ポストコロナ&ビッグデータ時代の超独創的なケア論です。

    <人文書院ウェブサイトより>
    ビッグデータ時代に象徴的身体が開く新たな自己

    私たちは物理的身体だけではなく、データの集合としての自己を形成する象徴的身体を持っている。現代におけるケアを考えるとき、両方の身体を視野に入れる必要があるのではないか。人間が自らの生存に配慮するセルフケアを行うとき、国家による生政治としてのケアに抵抗する別の可能性が開かれる。美術批評の世界的第一人者グロイスが、これまでの仕事の延長上で新しいケア概念を提起し、プラトン、ソクラテスからヘーゲル、ニーチェ、バタイユ、ハイデガー、アレントなどの数々の哲学を独自の視点からケアの哲学へと読み替える。

    「セルフケアの主体が、身体に関する医療、政治、行政の議論に積極的に参加することは、医療の知識を含むケアに関する知識を、無知の立場から判断する能力を前提とする。異なった科学の諸学派が、承認、影響力、名声、権力を求めて競っている。それらは全て知識の立場から個人をケアすることを要求する。個人である主体は、選択を行うのに必要な知識を持たずに、それらの中から選ばなければならない。なぜならば、あらゆる種類の知識は、受け入れられ実践されさえすれば、強力になるからだ。哲学の伝統は、この弱さと強さのアンビバレンスを反映する伝統として理解しうる。様々な哲学の教えは、ケアとセルフケア、依存と自律の様々なタイプの関係性を示唆している。」(本書より)

    ※『ケアの哲学』刊行に際して、3名のセンターメンバー(河村彩先生・木内久美子先生・伊藤亜紗先生)が選ぶ「ケアと利他を考えるためのブックリスト」がこちらの新コーナー「利他の本棚」に掲載されています。併せてご覧ください。

     

    この記事に登場するメンバー:

    河村彩先生