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    • 2022.02.18 Fri 14:30

    利他学会議:利他が生まれる場をめぐる 2-DAYオンラインカンファレンス


    ©️ Naoki Ishikawa

    私たちが利他を研究するにあたっていつも気をつけてきたことは、
    「言葉にすると利他は消えてしまう」ということでした。
    利他は、具体的な状況、具体的な行為の中に起こる出来事です。
    それを無理に概念化し、抽象化してとらえようとすると、
    何か大事なものが抜け落ちてしまうのです。


    2回目となる今回の利他学会議では、具体的な土地や現場のなかで
    思考されてきた方々を多くゲストにお招きすることにしました。

    テーマは題して「利他が生まれる場をめぐる」。
    バルセロナの街や東京の食堂、あるいは北九州のホームレス支援の現場、
    さらには動物や菌の生態など利他が生まれる場をめぐりながら、
    そこに宿る知を手がかりに利他について考えていきます。



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    2022.3.20(日)-21(月・祝)

    対象:一般、本学教職員、学生
    定員:2,800名(各分科会ごと)
    開催形式:ウェビナーによるオンライン開催(要事前登録)
    参加費:無料(要事前申込み)
    主催:東京工業大学 科学技術創成研究院 未来の人類研究センター

     

    申込み

    利他学会議中に開催される4つの分科会+ちゃぶ台トークのうち、参加ご希望のセッションごとにお申し込みいただく必要があります。下記の各セッションに記載されているリンクからウェビナー登録画面にとび、必要事項を記入してお申し込みください。
    受付は3月19日(土)までです(先着順)。なお、イベント終了後のアーカイブ公開については未定です。

    ●セッション1 3月20日(日)10:00-12:00
    11:30-12:00 ちゃぶ台トーク

    ▶︎セッション1のお申し込みはコチラから:
     分科会1+ちゃぶ台トーク ウェビナー登録

     

    ●セッション2 3月20日(日)13:30-15:30
    15:00-15:30 ちゃぶ台トーク

    ▶︎セッション2のお申し込みはコチラから:
     分科会2+ちゃぶ台トーク ウェビナー登録

     

    ●セッション3 3月21日(月・祝)10:00-12:00
    11:30-12:00 ちゃぶ台トーク

    ▶︎セッション3のお申し込みはコチラから:
     分科会3+ちゃぶ台トーク ウェビナー登録

     

    ●セッション4 3月21日(月・祝)13:30-15:30
    15:00-15:30 ちゃぶ台トーク

    ▶︎セッション4のお申し込みはコチラから:
     分科会4+ちゃぶ台トーク ウェビナー登録

     

    すべての分科会とちゃぶ台トークに、未来の人類研究センターのメンバーが登壇します。
    *「ちゃぶ台トーク」・・・分科会に参加しなかったメンバーが分科会終了後に繰り広げる雑談トーク。分科会の議論によって活性化された頭の中身を互いにぶつけあいます。

     

    申込〆切:2022年3月19日(土)※先着順

     


    スケジュール

    分科会1テクノロジー×コモンズ

    3/20(日) 10:00-11:30
    • 徳島
    • バルセロナ

    自分たちのまちを自分たちでつくる。「ともに手を動かすこと」の中にある民主主義の可能性について、徳島の石積みとバルセロナの都市計画を手がかりに考えます。

    Guest

    • 真田純子さん

      東京工業大学 環境・社会理工学院 准教授

      東京工業大学大学院博士課程修了。博士(工学)。ベネチア建築大学客員研究員(2015)。都市計画史研究で博士号を取得し史料に埋もれる研究者になるつもりが2007年徳島大学着任後に石積み修行を開始。2013年石積み学校設立。主な著書に「都市の緑はどうあるべきか」(技報堂出版、2007)、「誰でもできる石積み入門」(農文協、2018、土木学会出版文化賞)など。専門は緑地計画史、景観工学、農村計画、土木史。

    • 吉村有司さん

      東京大学 先端科学技術研究センター 特任准教授

      愛知県生まれ、建築家。2001年より渡西。ポンペウ・ファブラ大学情報通信工学部博士課程修了(Ph.D. in Computer Science)。バルセロナ都市生態学庁、マサチューセッツ工科大学研究員などを経て2019年より現職。ルーヴル美術館アドバイザー、バルセロナ市役所情報局アドバイザー。主なプロジェクトに、バルセロナ市グラシア地区歩行者計画、クレジットカード情報を用いた歩行者回遊分析手法の開発や、機械の眼から見た建築デザインの分類手法の提案など、ビックデータやAIを用いた建築・まちづくりの分野に従事。


    分科会2移民×ホームレス

    3/20(日) 13:30-15:00
    • メキシコ
    • 北九州

    家をうばわれた人の居場所はどのように作られるのか。長い時間をかけて結ばれる「身内/他所者」「支援者/被支援者」の関係について、メキシコの移民と北九州のホームレス支援から考えます。

    Guest

    • 渡辺暁さん

      東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院 准教授

      スペイン語教員、ラテンアメリカ研究者。メキシコの選挙について、そして同国から米国への移民について研究しています。東京大学中南米科教務補佐員や、首都圏の複数の大学での非常勤講師かけもちの時代を経て、2012年から山梨大学で、2020年からは東工大で、スペイン語科目の立ち上げに従事。山梨で奥さんの指導を受けながら5歳の男の子ともうすぐ2歳の女の子の子育てをしつつ、将来有望/経験豊かな非常勤講師の先生方と受講生の皆さんのご協力を頂いてスペイン語科目を運営しています。今回は、利他を体現するかのような人生を送り、コロナで亡くなったメキシコの友人についてお話させて頂く予定です。

    • 奥田知志さん

      NPO法人抱樸理事長、東八幡キリスト教会牧師

      1963年生まれ。関西学院神学部修士課程、西南学院大学神学部専攻科をそれぞれ卒業。 九州大学大学院博士課程後期単位取得。1990年、東八幡キリスト教会牧師として赴任。同時に、学生時代から始めた「ホームレス支援」に北九州でも参加。事務局長等を経て、北九州ホームレス支援機構(現 抱樸)の理事長に就任。これまでに3500人(2020年3月現在)以上のホームレスの人々の自立を支援。

    分科会3食×労働

    3/21(月・祝) 10:00-11:30
    • 食堂
    • 酒蔵

    経済と自然が交差する場所としての食。数値化できるものと数値を超えたもののあわいに生まれる利他について、食のおもしろさに取りつかれた元東工大生2人とともに考えます。

    Guest

    • 小林せかいさん

      「未来食堂」店主、東京工業大学理学部数学科OG

      日本IBM、クックパッドで6年半エンジニアとして勤めたのち、1年4カ月の修業期間を経て、2015年9月、東京都千代田区一ツ橋に、カウンター12席の「未来食堂」を開業。メニューは日替わり1種のみ、着席3秒で食事ができる、決算や事業書を公開、「ただめし」「まかない」「さしいれ」「あつらえ」などユニークで超合理的な仕組みを考え、飲食業に新風を吹き込む。こういった活動が評価され『日経WOMAN』ウーマン・オブ・ザ・イヤー2017を受賞。

    • 戸田京介さん

      三軒茶屋醸造所杜氏、東京工業大学 生命理工学院OB

      東京工業大学在学中の2018年よりWAKAZE・三軒茶屋醸造所にアルバイトスタッフとして関わり、同年冬に木戸泉酒造、土田酒造と2つの日本酒蔵での醸造経験を経てWAKAZE入社。以後、現在まで三軒茶屋醸造所でのどぶろく・ボタニカルSAKE醸造を担う。2021年に休学していた東京工業大学を中退。

    分科会4菌×霊長類

    3/21(月・祝) 13:30-15:00
    • 体内
    • 熱帯雨林

    利他の「他」には、人間以外の存在も含まれる。メビウスの輪のように絡まり合う生き物たちの利己と利他の様相を、菌と霊長類のふるまいを通して考えます。

    Guest

    • 山田拓司さん

      東京工業大学 生命理工学院 准教授

      2006年京都大学大学院理学研究科博士課程修了 理学博士。 京都大学化学研究所助手、ドイツ欧州分子生物学研究所研究員、東京工業大学大学院生命理工学研究科講師を経て、2016年より現職。専門は生命情報科学。2015年株式会社メタジェンを共同設立、同社取締役副社長を兼任。2019年株式会社dygzime取締役に就任。2020年メタジェンセラピューティクス株式会社取締役に就任。2020年令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)受賞。

    • 山本真也さん

      京都大学 高等研究院 准教授/京都大学野生動物研究センター 兼任准教授

      進化の隣人であるチンパンジーとボノボ、ヒト社会の隣人とも言えるイヌとウマを主な対象に、認知研究とフィールドワークの両方を通して知性の進化の謎に取り組んでいます。究極の研究テーマは「人間とは何か」を知ること。人間性の進化:その過去だけでなく、未来にも目を向けています。とくに社会の中で発揮される知性である社会的知性に関心をもっており、主なキーワードは、共感・他者理解・協カ・文化・集団社会です。近年は対象動物の幅をさらに広げ、ヒトと動物のよりよい共生社会の実現に向けた取り組みもおこなっています。

     

    未来の人類研究センターメンバー

    • 伊藤亜紗

      教授、芸術、センター長

      与えることではなく受けとることから利他を考える。この私たちの研究方針は、おのずと、「衣食住」のような生活に密着したテーマへと私たちを導いていきました。生活を支えるものを消費するのではなく受けとるとき、それは次なる利他へのバトンになりえます。受けとることの中にも与えることがあり、与えることの中にも受けとることがあるようです。相変わらず遠方へのフィールドワークができない苦しい日々が続きますが、オンラインという環境を活かして、各地を旅するような利他学会議になるといいなと思っています。

    • 中島岳志

      教授、政治学、利他プロジェクトリーダー

      利他について研究をしていると、「何をやったら利他になるのですか?」と、よく聞かれます。しかし、利他とは、特定の要素に還元できるものではなく、「スピード感」「選択と集中」「数値化」といった功利主義とは別の世界観にコミットすることで起動するもののようです。人間の能力に対する過信を諫め、無名の死者たちが積み重ねてきた経験知・暗黙知を静かに受けとめること。自然を無理やり統御するのではなく、うまく沿いながら付き合っていくこと。利他学会議では、そんな世界観を様々な角度から探究したいと思います。

    • 若松英輔

      教授、人間文化論

      日本語としての「利他」の起源は、平安時代の最澄・空海にさかのぼる。その古い言葉が、危機の時代になぜ、なまなましい実感をもってよみがえり、人々の心をとらえたのか。宗教的地平から生まれた言葉が、どのようにしてその壁を創造的に解体していったのか。そんなことを各界で活動する人々の言葉を聞きながら、考えを深めてみたい。

    • 磯﨑憲一郎

      教授、文学

      未来の人類研究センターのメンバーの中で、私一人だけが「利他」とは関係のない話しかしておらず、「利他」についてもほぼ言及していないのだが、これはもちろん「利他」に関心がないわけではなく、「利他」について語れば語るほど、その核心から遠退いていってしまうような気がしてならないからだ。それほど「利他」という話題は、手強い。ところでこの場合、私が協調性に欠けるという問題は残るが、協調性に欠けるということは、自分の中の譲れない何かに協調しているという態度でもある。

    • 國分功一郎

      特任准教授、哲学

      この二年間、「利他」という言葉を通じて考えてきたことのひとつのまとめになる会だと思っています。それと同時に、この会でもまた新しいアイデアが生まれることでしょう。僕は哲学をやっていて、だからでしょうか、アイデアには目がないのです。だからこの会を楽しみにしています。

    • 山崎太郎

      教授、ドイツオペラ/ドイツ文学

      昨年の利他学会議では、さまざまな分野の科学者やミュージシャンのお話から、とても多くの刺激を受けました。すべてが連続的につながり共存する自然界の生命、周囲の自然環境をも取り込んだ建築、自他が別々でありながらもおのずと響き合うことでそこに生まれる音楽――全く違う多岐にわたるテーマのなかから、それらを結ぶ「あいだ」「余白」「器」といったキーワードが浮かび上がり、「利他」においては能動的な行動だけでなく、ときに受け身の状態で万象に身と心を開くことが大切であると実感できたのです。今年はどのような分野のどのような言葉に出会えるのか、今からわくわくしています。

    • 木内久美子

      准教授、比較文学

      この一年間の研究で、利他が出来事であり、受け取る行為において、利他が作動することが明らかになってきました。とはいえ、利他=出来事ならば、それは受取手の意図も超えているのでしょうか? 受け取る行為は能動的であり受動的でもある? あるいは偶然? 仮にそうだとして、そもそも偶然って何でしょうか? …というように思考のループにおいては、概念に収斂させられてしまう危険と背中合わせの利他が、利他学会議で具体的なコンテクストから豊かな広がりを見せてくれるのを期待しています。

    • 北村匡平

      准教授、表象文化論

      未来の人類研究センターで利他について考え続けて、一番の発見は「与え手」→「受け手」へと伝達される利他の図式が成立しづらいということです。むしろこうした贈与のベクトルが崩壊するところにこそ利他の重要な契機があるといえばいいでしょうか。利他学会議では、こうした視点から「利他」のエッセンスを捉え直し、日常の中での具体的な利他を考えられたらと思います。ぼくの専門は映画学やメディア論なので、イメージや人とモノとの媒介性などの視点から利他の生成を考えていきたいです。